1-9 ペットの無断飼育をしている借主との契約解除が出来るか?

Q【賃貸人】

貸主です。

ペット飼育禁止の規約がある賃貸借物件で、入居者の一人から、住人の中でペットを無断で飼っている人がいるとの連絡がありました。

当該入居者に確認してみたところ、ペットを飼っていることが確認出来ました。規約でペットを飼えないことを伝えましたが、借主は「鳴き声もしないし、誰にも迷惑をかけていない」等と主張し、是正する考えはないようです。

他の入居者の迷惑にもなるので、退去してもらいたいが、賃貸借契約を解除することが出来ますか?

ペット
A

賃貸借契約を賃貸人から解除するには、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要になります。

過去の判例によれば、ペット禁止特約のある賃借物件でペットを飼育した場合、信頼関係の破壊に当たるとしたもの(東京地裁S58.1.28、東京地裁S59.10.4、新宿簡裁S61.10.7、東京地裁H7.7.12、京都地裁H13.10.30、東京地裁H22.2.24)と、当たらないとしたもの(東京北簡裁S62.9.22)がありますので、飼育しているペットの種類、性質、飼育の内容、近隣の住人への影響の程度、賃貸建物への損壊等の危険性の有無、程度などで、判断が変わる可能性があります。

なお、ペット禁止特約のついていない賃貸借物件においても、借主がペットを飼って損害が出ている場合、賃借物件の用法違反等で契約解除が認められる余地があります。(東京地裁S62.3.2)

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁H22.2.24 動物禁止特約に反する狐の飼育で契約解除が認められた事例
不動産流通推進センターのHPへ
2008年5月掲載 ペット無断飼育者に対する明渡し請求の可否
2014年10月掲載 ペット飼育禁止特約がない場合のペット飼育トラブルの対応
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