7-1 借地契約を解除するが、借地権の買い取りを地主に請求出来るか?

Q【賃借人】

土地の借主です。

数十年前に地主から土地を借りて、建物を建てて長年住んでいましたが、年を取ったこともあり、別の場所に住む子供のところに同居することになりました。

借地契約の解約を申し出て、立ち退きをしようと考えていますが、不動産に詳しい人に聞いたところ、借地権を土地の価格の50%程度の値段で、地主に買い取ってもらえると言われました。

もし、土地の時価が2,000万円だとしたら、1,000万円を地主に支払ってもらうことが出来るのでしょうか? その場合、どのような手続きを取れば良いのでしょうか?

借地権
A

実務上の話

借地権の買い取りを、地主に対して請求することは構いませんが、おそらく地主は、その請求に応じないと考えられます。

そもそも、「建物の買取請求権」と異なり、「借地権の買取請求権」というのは、法律上は何も規定がありません。そのため、借地人から「借地権の買取請求」を受けたとしても、地主には買い取る義務がないのです。

借地権の買取が考えられるケース

限定した状況下においては、借地権の買い取りが考えられるケースもあります。

そのケースとは、借地人が土地を借り続けたいと意思表示をしているにも関わらず、地主が立ち退きを希望する場合です。借地人は、地主が正当事由を具備していない限り、借地上に建てた家に居住し続ける権利があります。その居住し続ける権利、いわゆる借地権を放棄させる代わりに、立ち退き料の一部として、借地権を買い取るという合意が為されることはありえます。

本件の質問のケースのように、借地人が一方的に立ち退きたいと考えている場合、借地権の買い取り請求は基本的に無駄に終わるでしょう。

また、借地人が期間内に自ら立ち退く場合は、「建物買取請求権」も行使出来ませんので、借地人は自らの費用で建物を取り壊して、原状回復をした上で、土地を地主に返却することになります。

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