1-5 定期借地契約の期間を少し延ばすにはどうしたら良いか?

Q【賃貸人】

地主です。

賃貸借期間10年の事業用定期借地契約を交わして、もうすぐ期間満了となりますが、借地人から、もう1年だけ延長して借り続けたいとの要望がありました。
私としても、もう1年程度なら貸しても構わないと思っていますが、1年後には間違いなく土地を返していただきたいと思っています。

ただ、定期借地契約は更新が出来ないと聞いています。その場合、再契約ということになりますが、事業用定期借地契約では期間が最低10年となってしまいますし、普通借地契約だと期間は30年以上となってしまいます。仮に借主が1年で立ち退くという合意をしていたとしても、意見を翻して立ち退かなかった場合には、借地借家法の借主保護があるので、土地の早期返却が望めないと聞きました。

また、1年程度のために公正証書を作成するのも、仲介手数料を支払うのも勿体無いと思いますし、何か良い方法は無いでしょうか?

期間
A

事業用定期借地契約に、更新契約はありませんが、当初に定めた契約期間を延長することは法律上禁じられていません。賃貸人、賃借人で、当初の契約期間を10年から11年に延ばす条件変更の合意書を公正証書で作成すれば、有効に働きます。

※平成20年1月の借地借家法改正前は、事業用定期借地契約の法定期間は10年~20年と現在より短く設定されていました。そのため、法改正前に締結された事業用定期借地契約では、借地期間の合計が20年を超えてしまうような延長は認められません。改正後に締結された事業用定期借地権の場合は、借地期間の合計が50年を超えてしまうような延長は認められていません。

なお、定期借家契約の場合も同様です。定期借家契約にも更新はありませんが、当事者間の合意による期間延長は可能です。

宅建業者に依頼した場合の仲介手数料

期間延長について、仲介業者または管理業者に仲立ちを依頼する場合、仲介業務ではないので仲介手数料は掛かりませんが、労務報酬として幾らかの手数料の支払いが発生する可能性があります。

労務報酬については法律的な上限の規定はありませんので、当事者間の合意によって手数料額が定められることになります。

不動産流通推進センターのHPへ
2016年4月掲載 事業用定期借地権契約の存続期間変更の可否と方法
2013年10月掲載 定期建物賃貸借契約の期中における契約期間の延長とその手続
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