2-10 賃借人が亡くなった時の対応

亡くなる

賃貸人(大家)の対応

賃借権(物件を借りる権利)は相続対象になりますので、賃貸人として最初にやることは、賃借人の家族(相続人)に連絡を取ることです。

賃借人の相続人が引き続いて住むことを選択した場合は、借主名義人の変更の覚書を作成します。賃借人の相続人が引き続いて住まない場合は、賃貸借契約の解除手続きを行います。

ただし、相続人が全員相続放棄をした場合、相続人には賃貸借契約を解除する権限も、部屋に残っている残置物を処分する権限も無くなりますので、少々厄介なことになります。

法的に正しい方法で処理するならば、民法940条(相続の放棄をした者による管理)を根拠に相続人に『相続財産管理人』を選任してもらって、相続財産管理人に残りの手続きをしてもらうということになりますが、相続財産管理人の選任には、予納金が数十万円~100万円くらい掛かると言われていますので、相続人が手続きをしてくれない可能性があります。

合法と言い切れない方法としては、賃貸人の意思だけで賃貸借契約を解除してしまい、民法940条(相続の放棄をした者による管理)を根拠に、相続人に残置物だけを運びだしてもらうようお願いし、相続人が何もしてくれない場合に限り、残置物については適当に処分します(違法行為ですが、咎める人がいなければ、何事もなく終わる可能性があります)。

原状回復費用が、預かっている敷金以上になった場合は、連帯保証人に請求します。推奨するわけではありませんが、適法な方法に比べれば、時間や手間を大幅に短縮することが出来ます。

賃借人の相続人の対応

賃借権を相続した場合、従前の条件のまま、引き続いて住むことが出来ます。引き続いて住まない場合は、賃貸借契約の解約手続きを進めます。

相続放棄を選択した場合は、相続財産(賃借権、財産的価値のある残置物)について処分することが出来なくなります。処分してしまうと、単純承認と見做される可能性があります。

ただし、民法940条により、相続放棄を選択した場合でも、相続財産を適切に管理する義務がありますので、金銭的に可能ならば『相続財産管理人』を選任し、以後の手続きを任せることになります。予納金が数十万円~100万円くらい掛かりますが、法的に正しい方法で相続人としての責任を果たすことが出来ます。

民法の規定

inserted by FC2 system