2-10 中古住宅を購入したが違法建築だった

Q【買主】

買主です。

中古住宅を購入しましたが、引渡しを受けた数年後、違法建築であったことが分かりました。そのため、増改築が出来ない状態です。

売主や、仲介業者からは「違法建築であるので増改築出来ません」というような説明は受けていません。

このような場合、責任を追及することは出来ないでしょうか。

違法建築
A

違法建築物件とは

違法建築と一言で言っても、類型は様々です。

建蔽率違反、容積率違反、無断増築、そもそも建築確認申請を出していない、完了検査を受けていない。等。

違法建築のデメリットとしては、ローンが下りない可能性があること、行政から是正勧告が出されるリスクがあること。建築確認申請が必要なリフォームや増改築が難しくなること。などが挙げられます。

なお、上記デメリットがあまり問題にならないとして、買主が納得して購入する分には問題がないため、違法建築物件であっても取引自体は可能とされています。

業者の役立ちメモ1-6『違反(違法)建築物を仲介しても良いのか?

売主への責任追求

売主が違法建築だと知っていた場合は、原則として買主に対する告知義務が発生すると考えられます。ただし、売主は建築に詳しくないでしょうから、長年住んでいても、違法建築であることを知らないという場合もあります。

売主が違法建築だと知らなかった場合は、当該違法建築が契約不適合に該当するかどうかで責任追及することが出来るかどうか考えていきます。

もし、契約不適合に該当する場合、売買契約書に約定の期間内に売主に通知を行えば、売主負担で修繕等の対応を行ってもらうことが出来ます。ただし、契約不適合責任が免責されている場合や、通知期間を過ぎてしまっていた場合、また、そもそも当該違法建築が契約不適合に該当しない場合は、売主への契約不適合責任の追及は諦めることになります。

なお、判例を見る限り、違法建築であるからと言って、必ずしも契約不適合に該当するものではありません。
買主側でどのような使用方法が予定されていたか、違法建築やそのデメリットに関して言及がなかったとしても、その関連事項に対してどこまで説明があったか、買主の属性(建築に詳しいかどうか)等、を斟酌して、契約不適合に該当するかどうか判断されることになります。

仲介業者への責任追求

仲介業者としては、違法建築であることを知っていた場合、買主に対して説明義務があると言えます。ただし、仲介業者も建築の専門家ではありませんので、違法建築であることを知らなかった場合や、宅建業者としての一般的知識で発見できなかった場合は、説明義務違反とならない可能性もあります。

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁R3.11.26 建物の建築基準法違反が瑕疵にあたる等とする買主による売買代金返還等の請求が、契約内容から瑕疵にあたらないとして棄却された事例
東京地裁R2.2.13 違法建築物である可能性がある旨の説明では足りず、違法建築物であるとの説明義務が売主業者にあるとした買主主張が棄却された事例
東京地裁R1.11.20 売買建物に建築基準法違反があったことを理由に報酬を支払わない買主に対する媒介業者の支払請求を認めた事例
東京地裁H30.9.21 建築基準法に違反する建物であったことの説明をしなかった媒介業者に対する買主の損害賠償請求が棄却された事例
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