1-2 賃貸借契約締結後、入居前のキャンセル

Q【賃借人】

借主です。

仲介業者を通して、賃貸マンションの賃貸借契約を締結しましたが、入居予定日を前にして、急遽、転勤の辞令が出てしまったため、賃貸借契約をキャンセルしますと仲介業者に申し出しました。

支払い済みのお金を返金してもらいたいと申し出ましたが、仲介業者から「既に契約済みなので、支払われたお金は敷金を除いて返金できません」と言われました。それどころか逆に違約金が掛かるとのことです。

まだ引越しもしていませんし、入居もしていません。入居予定日も到来していないうちにキャンセルを申し出たのですが、本当に支払い済みのお金を戻してもらうことは出来ないのでしょうか?

また、違約金も支払わなければならないのでしょうか?

キャンセル
A

重要事項説明を受けて、賃貸借契約書に署名押印した以上は、賃貸借契約が成立していると見做されます。賃貸借契約が成立している以上、入居予定日が未到来であることや、実際に入居したかどうかは、賃貸借契約の効力発生と無関係であると言えます。

そのため、一般的には賃貸借契約を途中で解約したのと同様の手続きとなります。

支払い済み金員の返還が受けられるのか?

実際に入居をしていない状態であれば、話し合い次第で、幾らかの返金が受けられる可能性がありますが、基本的には以下の通りの対応となります。

『礼金』・・・返金が予定されていませんので、戻りません。

『敷金』・・・部屋の毀損、汚損が無いので、通常は戻ります。敷き引きがある場合、その分は戻りません。

『前払い家賃』・・・通常、1ヶ月前予告の解約となるので戻りません。

『仲介手数料』・・・賃貸借契約が成立しているので戻りません。

『保険料』・・・保険会社と相談して戻る可能性があります。

違約金の発生について

賃貸借契約が成立している以上、解約については賃貸借契約書の特約に従うことになります。

もし、短期解約に対する違約金条項があれば、賃貸借契約書どおりに違約金を支払う義務が生じますし、1か月前の解約通知が必要な場合は、1か月分の賃料についても支払う義務が生じます。

ただし、突然の転勤という理由による解約であれば、賃借人側の故意や過失ではないことを説明して、賃貸人や仲介業者に理解を求めてみるという手もあります。もしかしたら、多少譲歩してくれる可能性があります。

しかし、原則として、違約金については支払うべきものだと思っておきましょう。

賃貸借に関するトラブル事例1-1『賃貸借契約締結直前のキャンセル

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