4-4 隣人の迷惑行為の説明がなかった

Q【賃借人】

借主です。

賃貸マンションへ引っ越しをしたところ、隣に住んでいた人が「生活音が五月蝿い!」「夜に音を立てるな!」などと主張し、壁やドアを叩くなどの迷惑行為、威迫行為を頻繁にしてきます。

私は普通に生活しているだけなので、騒音は特に出ていないと思います。このままだと、隣人が家族に危害を与えるのではないかと恐怖しています。

近所の人に話を聞いてみたところ、現在借りている部屋の前の借主も、その争いが嫌で引越ししていったとのことですが、賃貸借契約を締結する時、仲介業者からはそのことについて何も聞いていませんでした。これは説明義務違反に当たるのではないでしょうか?

引越した場合、引越し費用などを仲介業者に請求することは出来ませんか?

隣人トラブル
A

仲介業者が、隣人の迷惑行為を把握していたのか、それとも全く知らなかったのかで結論が変わってきますので、場合分けして考えてみる必要があります。

仲介業者が隣人の迷惑行為を把握していなかった場合

基本的に仲介業者の責任を問うことは出来ないと考えられます。

仲介業者が隣人の迷惑行為を認知していないのなら、そもそも告知することは出来ません。また、仲介業者には、原則として隣人がどんな人なのかまで調べる義務はありませんので、やはり説明義務違反を問うのは難しいと考えられます。

仲介業者が隣人の迷惑行為を把握していた場合

隣人の迷惑行為の程度が重要な判断要素になります。もし、隣人の迷惑行為が、一般的な人が居住するのに支障を来たすほど酷いものであれば、仲介業者には仲介業務上、賃借人に告知する義務が生じます。

もっとも、隣人の迷惑行為を間違いなく知っていただろうと判断出来る状況にも関わらず、仲介業者が「自分は迷惑行為を知らなかった」と主張することも考えられます。その場合、仲介業者の責任を追及するためには、仲介業者が迷惑行為を知っていたという客観的な証拠を集める必要があるでしょう。

実際、どう対応したら良いのか?

直接、迷惑行為を行う隣人に苦情を申し出ても良いのですが、逆切れなどにより、事態が悪化する可能性もありますので、まずは管理業者に連絡をして対応をしてもらうよう求めます。自分以外に迷惑行為の被害を受けている入居者がいれば、協力して相談してみましょう。

管理業者の対応によっても迷惑行為が止まない場合、または管理業者が満足に対応してくれない場合は、貸主と交渉して、引越し費用の負担、途中解約の違約金や敷金の返還について話し合います。その際、仲介業者の告知義務違反が問えそうであれば、仲介業者にも負担を求めても良いと思います。

話し合いがまとまらない場合は、泣き寝入りして引っ越しを考えるかか、貸主、または仲介業者、または隣人の三者いずれかを相手として訴えることになります。

不動産適正取引推進機構のHPへ
2014年1月号 賃貸住宅における迷惑行為に関する一考察
大阪高裁H16.12.2 仲介業者に隣人トラブルの説明義務違反があるとされた事例(売買)
全日本不動産協会のHPへ
2006年1月号掲載 隣人の迷惑行為(売買)
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