2-7 買ったばかりの中古住宅で雨漏りが発生したら?

Q【買主】

買主です。

築10年の中古住宅を購入しました。引越しをしてから数日後にゲリラ豪雨に見舞われ、家の一部の部屋で雨漏りが発生してしまいました。

いくら中古住宅で購入したとは言え、引渡しを受けてから、すぐに生じた雨漏りですので、売主に修理費用を支払ってもらうことが出来るのでしょうか?

また、仲介業者からは、雨漏りのことについて何も説明を受けていません。説明責任を果たしていないと思いますので、仲介業者にも損害賠償請求をすることが出来るでしょうか?

雨漏り
A

中古住宅を買われた人が最初にすることは、売買契約書の契約不適合責任に関する特約が、どのような内容になっているかを確認することです。

売主の契約不適合責任を免責する特約がついている場合

売買契約書の特約に、「売主は一切契約不適合責任を負わない」や「売主は雨漏りや白蟻については契約不適合責任を負わない」等のように、雨漏りについての契約不適合責任を免責する内容の特約がついている場合があります。

その場合、売主が雨漏りの事実を知っていたのに関わらず隠していたということを、買主が立証できた場合に限り、免責特約が無効であることを主張し、契約不適合責任(雨漏りの修補等)を求めることが出来ます。(民法572条
もっとも、売主がそのように証言するとは思えませんので、この立証は困難と言えます。弁護士に相談して、立証が無理そうな場合は早々に諦めた方が良いでしょう。

売買の基礎知識4-2『契約不適合に関する特約

改正民法まとめ2-1『民法改正で、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わります

売主の契約不適合責任を免責する特約がついていない場合

売買契約書の特約に、「売主は契約不適合責任を6ヶ月負う」等のように、雨漏りについての契約不適合責任が免責されておらず、かつ、期間内に契約不適合(雨漏り)について、修補するよう売主に連絡した場合です。

当該、雨漏りが契約不適合に該当する程度のものであれば、契約書記載の条項通りに、売主に契約不適合責任を求めることができます。修補請求(追完)だったり、代金減額だったり、契約解除だったり、請求できる内容は契約条項によります。細かな特約が無い場合は民法の条項(562条563条415条541条等)により、請求することが出来ます。

まずは仲介業者を通して、売主に話を持っていき、売主が契約不適合責任を認めない場合は、面倒ですが、調停や裁判をする必要があるでしょう。

契約不適合責任に該当する雨漏りかどうかの判断

雨漏りは、一般的には契約不適合に該当するケースが多いと思われますが、絶対とは言えません。築年数が相当に古く、雨漏りの程度が酷くない場合などは、経年劣化によるものと裁判所が判断し、契約不適合(瑕疵)と認めてくれない場合もありえます。

また、決済後に、天災(台風、ゲリラ豪雨、地震)などによって、新たに発生した雨漏りについては、そもそも契約不適合責任の対象ではありませんので、買主は売主に対して請求することは基本的に出来ません。

仲介業者への説明責任の追及は?

仲介業者は、建物の物的状態については、高度な注意義務を負っていないというのが、過去の判例で示されています。そのため、宅建業者としての一般的な注意で発見できないような雨漏りであれば、仲介業者の調査責任を問うことは困難であると考えられます。仲介業者が雨漏りを発見していないのであれば、当然、説明義務を負うこともありません。

もし、仲介業者の責任を問えるとすれば、仲介業者が雨漏りの事実を知っていて隠していた場合(売主から報告を受けていた等)です。その場合は、契約不適合責任ではなく、説明義務違反(債務不履行や不法行為)を根拠として、損害賠償請求できる可能性があります。しかし、仲介業者が雨漏りの事実を知っていたのに隠して売却するということは通常ないため、一般的に仲介業者への請求は難しいと言えます。

不動産適正取引推進機構のHPへ
東京地裁R3.11.25 雨漏りは外壁コーキングの経年劣化によるものとして、買主の瑕疵担保請求が棄却された事例
東京地裁R2.2.26 売主業者が雨漏り履歴を故意に隠蔽したことは説明義務違反にあたるとして、慰謝料の支払いが命じられた事例
東京地裁H30.3.28 媒介業者に雨漏り等の調査・告知義務違反があったとした、買主の媒介手数料相当額の賠償請求が棄却された事例

改正 民法の規定

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