1-9 決済期間を延長した後の『ローン特約』の適用の可否

Q【買主】

中古住宅を購入しようとしたものです。

ローン特約付きで、売買契約を締結した後、金融機関に住宅ローンの本申し込みを行いました。しかし、様々な事情により、決済までに金融機関から回答が来ないことが分かったため、仲介業者を通じて、売主に決済期限の期間延長を申し出たところ「売主が期間延長に同意してくれました」とのことでした。

しかし、その後、結局、金融機関から融資を断られてしまったため、ローン特約による解約を申し出たところ、売主から「ローン特約による解約は、すでに期限が過ぎているため認められないので、違約金を支払ってください」と言われてしまいました。

決済期間の延長を合意していたのに、ローン特約による解約は主張できないのでしょうか?

解約困った
A

決済期限の延長合意があった時に、ローン解約期限の延長合意もあったかどうかが重要になります。

この二つは似て非なるものなので、決済期限が延長されたとしても、自動的にローン解約期限までもが延長されるわけではありません。

もし、ローン解約期限の延長合意(売主からの承諾)が無かったとすれば、ローン解約期限が延長されているとは言えません。ローンが通らなくても、ローン特約による白紙を主張出来ませんので、売主から契約解除されたり、違約金を支払うよう請求されることが考えられます。もし、まだ手付解約が主張出来る状態であれば、手付流しによる解約を主張することは可能です。

一方、ローン解約期限の延長合意までもがあったとすれば、当然、その期日までであれば、買主はローン特約による白紙解約を主張することが可能です。

ローン特約の効力の失効

ローン特約が自動解約型の場合、通常、最初に定めた期日が訪れた時に、売買契約は自動で解約されますが、期限到来前に、当事者間でそれに反する合意を改めてしたり、経緯も含めて、そのような合意があったと思われる行動を当時者がしていた場合(ローン解約期日到来後も双方が契約締結に向けて動いていた等)には、当初のローン特約が効力を失ったと判断されることがあります。

ローン特約の効力が失効したと見做されてしまえば、当然、ローン特約による解約は主張出来ませんので、後は、手付解約か、債務不履行による違約解約になります。

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