1-5 一時使用目的の賃貸借(土地・建物)とは?

一時使用目的の賃貸借とは

一時使用目的の賃貸借とは、主が一時的な目的のために借りる時だけ、契約することのできる賃貸借契約です。

一時使用目的の賃貸借契約は、「民法」および民法の特別法である「借地借家法」の規制を受けますが、「借地借家法」については、ごく一部の条項しか適用されません。(借地借家法 第25条借地借家法 第40条)そのため、賃借人の権利は「民法上の賃貸借」なみに弱くなるという特色があります。

活用方法としては、「マンション建設期間中だけ使用する仮建物を建設するための用地の賃貸借」や、「選挙期間中だけ選挙事務所として賃貸借したい」といったことが考えられますが、留意すべき点は、あくまでも一時的な使用という目的が伴っている場合にのみ使えるいうことです。

借地借家法の適用を免れるために、賃貸借契約書の表題だけを一時賃貸借契約にしたとしても、一時使用の目的が伴っていない場合は、裁判で争った場合、普通借家(借地)契約と判断される可能性があります。

賃貸の基礎知識1-7『民法上の賃貸借契約

仮設建物

一時使用目的の賃貸借の契約期間について

借地借家法ではなく、民法の規定に従いますので、最長期間が50年(2020年4月1日以降)となります。もっとも、50年という長期間が一時使用と認められるかには疑問があります。

短期については制限がありません。

一時使用目的の賃貸借の契約様式について

諾成(口頭)でも、文書でも契約は成立します。

一時使用目的の賃貸借契約と認められる要件について

賃貸借契約書の表題を一時使用目的に変えただけではダメです。
 (1)土地(建物)の利用目的
 (2)建物の種類
 (3)設備
 (4)賃貸借期間
 (5)諸般の事情
などを考慮し、当事者間に短期間に限り賃貸借を存続させる合意が成立したと考えられる場合、成立します。

一時使用目的の賃貸借契約の期間中の解除について

借地借家法の規定が及びませんので、賃貸人、賃借人、それぞれ特約したことが有効になります。賃貸人からの契約解除に正当事由も不要です。

一時使用目的の賃貸借契約の更新について

更新は基本的にありませんが、特約があればそれに従います

不動産流通推進センターのHPへ
2017年12月掲載 一時使用目的の建物賃貸借契約の問題点

借地借家法の規定

※土地の一時賃貸借においては、借地借家法の第10条(借地権の対抗力等)、第11条(地代等増減請求権)、第14条(第三者の建物買取請求権)のみ適用となります。建物の一時賃貸借の場合は、借地借家法の規定が適用されませんので、民法上の賃貸借と同じになります。

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