2-10 ハザードマップを重要事項説明として説明する義務はあるか?

水害

「ハザードマップ」とは、「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。

近年、大規模水災害が頻発していることに鑑み、水防法に基づき作成された水害ハザードマップ内に対象物件が含まれている場合、宅建業者に「ハザードマップ」の説明が義務付けられることになりました。売買・交換・貸借いずれも説明が義務付けられています。
 公布日:令和2年7月17日(金)
 施行日:令和2年8月28日(金)

説明義務のあるハザードマップ

自治体で、水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害「洪水」・「雨水出水(内水)」・「高潮」ハザードマップが対象になります。
「洪水」とは河川から溢れる水。「雨水出水(内水)」は急な大雨によりマンホール等の排水施設から溢れる水。「高潮」は低気圧や台風等により海から溢れる水と定義されています。

市町村が配布する印刷物又は市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使って説明する必要があります。

当該自治体が、水防法に基づくハザードマップを作成していない場合は、「当該宅地又は建物が所在する市町村においては、水防法に基づく水害ハザードマップは作成されておりません」と、相手方に説明する必要があります。

また、水防法に基づかないハザードマップがある場合については、それが買主にとって重要な事項にあたる場合、説明義務が生じると解されています。

説明の方法

取引対象の宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて相手方に提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行います。水害ハザードマップに記載されている詳細な内容については、ハザードマップを作成した自治体に問い合わせてもらうようにします。

ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましいことや、対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮することも求められています。

参考:Q&A|国土交通省

参考:ハザードボータルサイト|国土交通省
公開していない箇所を除き、全国のハザードマップを調べることが出来ます。

宅建業法の解釈と運用

宅建業法第35条第1項第14号の省令事項(規則第16条の4の3)について

3の2 水防法の規定による図面における宅地又は建物の所在地について(規則第16条の4の3第3号の2関係)

本説明義務は、売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害(洪水・雨水出水(以下「内水」という。)・高潮)ハザードマップ(以下「水害ハザードマップ」という。)上のどこに所在するかについて消費者に確認せしめるものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。

本説明義務における水害ハザードマップは、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村(特別区を含む。以下同じ。)が配布する印刷物又は当該市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、当該市町村のホームページ等を確認し入手可能な最新のものを用いることとする。

当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。

なお、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、水害ハザードマップが地域の水害リスクと水害時の避難に関する情報を住民等に提供するものであることに鑑み、水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。また、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮するとともに、水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される場合があることを補足することが望ましい。

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