3-5 契約が解除された時の仲介報酬(手数料)請求権

請求

売買契約締結後、手付解除、ローン特約に基づく解除、停止条件の未成就による契約の効力の未発生、解除条件の成就による解約、一方の債務不履行による解除などにより、決済に至らないことがあります。

仲介を行った宅建業者として、仲介手数料を請求しても良いのかどうか。それは場合によって変わります。

手付放棄・手付倍返しによる解除があった場合

仲介業者は仲介報酬の全額について請求することが出来ます。国土交通省が報酬の受領時期について、契約時に半金、決済時に半金を推奨していますが、これは受領時期について定めたものと解されており、手付解除が確定した時点で仲介報酬の全額を請求しても法律上は問題ないとされています。

ただし、媒介契約書の中に「手付解除となった場合の報酬額についての合意」が無い場合、裁判での争いになると、状況に応じて報酬額が減額される可能性はあります。

ローン特約に基づく解除があった場合

国土交通省が定めた標準媒介契約約款を、媒介契約書として使用している場合、「ローン特約による解除があった場合、仲介業者は受領している報酬の全額を返還しなければならない」と約定されていますので、宅建業者は仲介報酬を請求することは出来ませんし、契約時に仲介報酬の半金を受領している場合は、依頼者に返還しなければなりません。

停止条件の未成就によって契約の効力が発揮されなかった場合

停止条件付の場合、停止条件が成就するまでは売買契約の効力が発生していませんから、仲介業者はそもそも仲介報酬を請求することは出来ない筈です。もし、契約時に仲介手数料の半金を受領してしまっている場合は、返金しなければなりません。

解除条件の成就によって契約が解除された場合

解除条件は、条件が成就すると売買契約の効力が解除される条件のことです。

契約が成立しているため報酬請求権は発生しています。契約時に仲介報酬の半金を受領し、その後、解除条件が成就した場合は、その時点で仲介業者は仲介報酬の残額を請求出来ると考えられます。
ただし、ローン特約を始めとして、白紙解除が合意されている解除条件が成就した場合は、仲介報酬を請求することは出来ません。

売主、買主、一方の債務不履行により契約が解除された場合

売買契約は有効に成立していますので、仲介業者は仲介報酬を請求することが出来ます。もし契約時に仲介報酬の半金を受領しているようであれば、残りの半金を請求することになります。

 ※いずれの場合であっても、仲介業務上の説明ミス等が原因で契約が解除になった場合は、仲介報酬を請求することが出来ません。

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