5-1 不動産売買契約のクーリングオフとは

クーリングオフ

不動産売買について、買主は常にクーリングオフをすることが出来るわけではなく、宅建業法に定められた幾つかの要件に該当する場合のみ、クーリングオフすることが可能となります。

なお、不動産売買のクーリングオフは、宅建業者が売主となる場合の8種規制のうちの一つです。

クーリングオフの要件(宅建業法37条の2

(1)売主が宅建業者であること。

(2)買主が宅建業者でないこと。

(3)業者の事務所等以外の場所で買受の申し込みをしていること。

(4)『物件の引渡し』かつ『代金の全額の支払い』をしていないこと。

以上、4つの要件を全部満たす場合、買主は、売主業者からクーリングオフについての説明を書面で受けた日から8日目までは、クーリングオフが可能となります。クーリングオフをした場合、支払った費用は全額戻ってきます。また、損害賠償や違約金を支払う必要もありません。

クーリングオフをする場合は、意思表示を確実にするため、後で証拠になるように、配達証明付の内容証明郵便など、日付の記録の残る形で通知した方が良いです。

事務所等に該当する場所(クーリングオフが出来ない)

①売主業者、媒介業者、代理業者の事務所

②宅地建物取引業法施行規則第15条の5の2で規定されている事務所以外で、専任の宅地建物取引士を置くべき場所のうち「継続的に業務を行なう施設を有する場所」「10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲を行う案内所で土地に定着しているもの」「宅地建物取引業者が展示会その他の催しをする場所」媒介業者、代理業者が設置するものも含む。

③買主が申し出た場合の、買主の自宅・勤務先となっています。

なお、買主からの要望があっても、喫茶店等は、事務所等に該当しません。自宅に飛び込み訪問を受けた場合も、買主が申し出たわけではありませんので、事務所等に該当しません。

クーリングオフの詳細、注意事項

 ・買受の申し込みとは、売買金額等、ある程度しっかりした契約条件が決まっていることが必要です。

 ・買主が自宅または勤務先を指定した場合、自宅または勤務先も事務所等に含まれます。

 ・民法の初日不算入の原則と違い、説明を受けた日が1日目としてカウントされます。

 ・クーリングオフの通知は発信主義のため、内容証明郵便などを発信した時に効力を生じます。

 ・売主業者は、クーリングオフについての説明を書面でする必要があります。口頭のみの説明の場合、日付のカウントが始まりません。

 ・買い受けの申し込みを事務所等で行い、事務所等以外で契約を行った場合は、クーリングオフが出来ません。

 ・買い受けの申し込みを事務所等以外で行い、事務所等で契約を行った場合は、クーリングオフが出来るという考え方が一般的です。(事務所等で契約しているのにクーリングオフが必要かどうかは疑問が残ります)

 ・買受の申し込みをした時に、売主業者からクーリングオフの説明を受け、その後、8日が過ぎてから売買契約の締結に至った場合、期間経過により、クーリングオフが出来ない可能性があります。

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